食品の販売で重要な「表示」のルールを知ろう
食品表示がなぜ必要なのか?
スーパーやコンビニで食品を買うとき、パッケージの裏側などをよく見ると、小さな字でいろいろな情報が書かれています。これが「食品表示」です。
この表示は、私たちが安全に食品を選び、安心して食べるために、食品表示法という法律で義務付けられています。たとえば、ご自身やご家族にアレルギーを持っている方にとっては、食品表示は命を守る大切な情報になります。あるいは、健康上、栄養摂取を制限している方には、栄養成分は欠かせない食品選択の情報です。食品を販売するためには、このルールを守って正確な情報を伝える責任があるのです。
食品表示にはどんなことを書くの?:食品表示法の概要
容器や包装に入った加工食品(お菓子、お弁当など)を販売する場合、原則としていくつかの項目をまとめて表示することが義務付けられています。これを一括表示と呼びます。
表示項目 | 内容 | 必要な理由 |
名称 | その食品が何であるか(例:菓子パン、清涼飲料水) | 何の商品か一目でわかるように |
原材料名 | 使っている材料を、多い順にすべて記載 | アレルギーや好みに合わせて選ぶために |
添加物 | 色付けや保存のために使ったもの(原材料と区別して記載) | 食品添加物が何の目的で使われるかを知るために |
内容量 | 重さ(グラムなど)や量(ミリリットルなど) | 適正な取引を行うために |
消費期限または賞味期限 | 期限を過ぎたら食べない方がよい目安 | 安全に食べるための目安 |
保存方法 | 鮮度や品質を保つための方法(例:直射日光を避ける、10℃以下で保存) | 期限内に品質を保つために |
食品関連事業者名及び住所 | 表示に責任を持つ人(製造者、販売者など)の連絡先 | 品質に問題があったときに問い合わせるために |
アレルゲン | 特にアレルギーを引き起こしやすい特定原材料(例:小麦、卵、乳) | 命に関わる重要な情報だから |
栄養成分表示 | カロリー(熱量)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量 | 健康管理や食生活改善のために |
上に示したものだけでなく、原産地や遺伝子組み換えの有無、加熱の必要性の有無なども食品によっては表示しなければなりません。また、その表示の仕方も、食品が生鮮食品なのか加工食品なのか、容器包装に入っているかいないか、等によって、表示方法が異なります。実に複雑なルールとなっており、多くの食品メーカーや販売店は表示が適切かの判断に苦慮しているのが現状です。
パッケージの宣伝のルールは?:景品表示法の概要
「表示」とは、パッケージの文字だけでなく、広告、チラシ、ウェブサイトなど、お客さんに向けたすべての情報を含みます。この表示でウソや勘違いをさせない様にするために、景品表示法があります。
景品表示法は大きく二つの重要な表示規制があります。
- 優良誤認表示:実際よりも「すごく良いものだ」と誤解させる表示。
- (例)「このみかんはすべて最高級ブランドのA品です!」と宣伝したが、実際はB品が半分混ざっていた。
- (例)「このパンは天然酵母を100%使用!」と書いたが、天然酵母はわずかで、一般的なイースト菌が主だった。
- 有利誤認表示:実際よりも「すごくお得だ」と誤解させる表示。
- (例)「今だけ半額!」と書いたが、その元々の価格(定価)は、つい最近まで使われていなかった架空の値段だった。
- (例)「○日間は当選確率が10倍!」と書いたが、実際の当選確率は通常時と変わらなかった。
なんだか、このような表現は世に溢れる広告でよく見ますね。
ルールを守った食品表示をするために
私は外食企業で表示作成に関わっていますが、法制度を熟知していると自負する私でも苦戦しているのが現状です!原材料の情報を揃えて一括表示としてミスなく表示すること、他企業との差別化を図ろうとマーケティング部門で作成する広告表現の修正すること、表示の適正化は非常に重要なポジションです。表示のミスがあれば、食品表示法または景品表示法違反で、自主回収や課徴金納付命令など、大きな損害を与えてしまいますから。
しかし、苦労の多い食品表示を適切に行うことは、お客様の信頼を得て、長く愛される企業であり続けることができます。過去に、消費者庁長官を歴任された阿南さんが、「消費者の信頼を損ねるような不適正な表示が排除されると、信頼性の高い企業のイメージが醸成できる。一度でもそのイメージが崩れると元に戻すのは極めて難しい。」とおっしゃっていたのは、深く私の心に刻まれています。
生半可な知識で表示や広告の作成は行うのは大変リスキーです。食品表示のチェックも業務として請け負っていますのでお気軽にお問い合わせください。