食品の基準ってどんな内容があるの?
これまで、食品を作るときの衛生管理の考え方や事故が起きたときにどんな流れになるか、等の大きな話をしてきました。
今回は、もう少し具体的な、守らなければならない基準を解説します。
皆さんはスーパーで売られているお菓子やお弁当が、いつも安全でおいしいのはなぜだと思いますか?それは、食品の安全を守るための基準、つまり「規格基準(きかくきじゅん)」というルールがあるからです。
「規格基準」とは?
規格基準とは、食品を製造したり販売したりする際に守らなければならない、品質や安全性の最低限のルールのことです。例えば、「この食品は、〇℃〇分以上の過熱をしないといけません」、「この食品には、これ以上〇〇な成分を入れてはいけません」、「この菌は、〇〇以下でなければなりません」といった具体的な決まりが定められています。この決まりは「食品衛生法」という法律の中で、この規格基準が定められています(食品衛生法第13条)。
乳製品は別の法令に記載がある!?
食品衛生法は、食品全体の安全を守るための大枠の法律です。しかし、食品の種類はたくさんありますよね。牛乳、魚、肉、野菜では、それぞれ守るべきルールも違います。特に、牛乳や乳製品は歴史的に重要な食品であるとともに、食中毒を多く起こしてきた食品です。その背景もあって、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳及び乳製品は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(通称:乳等命令)」で、より細かく専門的なルールが定められています。「命令」と非常に印象が悪い名称ですね。。。最近、厚労省から消費者庁に食品の基準に関する業務が移管された際に名前が変わりました。この規格基準を作ったり、修正したりしていた担当者でもありました。私は厚労省にこの業務があった時に担当しており、様々な規格基準を作ったり、修正したりしていました。
重要な3つのポイント
いろいろな項目がありますが、特に知っておきたい大切なポイントを3つご紹介します。
- 成分規格: 食品に使うことができる食品添加物や、残留してはいけない農薬、動物用医薬品などの上限を定めたルールです。食品に含まれる細菌の上限も定められています。具体的には、一般生菌数や大腸菌群、サルモネラ属菌やリステリア等です。食品によって細かく決まっているので、どの食品に分類されるのかが重要になります。例えば、乳等命令では、牛乳にどれくらいの乳脂肪分や無脂乳固形分が含まれているかなど、牛乳そのものの成分が厳しく決められています。
- 製造基準: 食品を作る工場や調理施設の衛生状態や、製造方法に関するルールです。清潔な場所で、正しく加熱・冷却するなど、安全に食品を作るための手順が細かく決められています。具体的には加熱条件は一般的に63℃30分以上と同等以上の加熱条件が求められますが、乳等命令では、牛乳の加熱条件は120℃で4秒以上と同等以上が定められています。
- 保存基準: 食品の保存方法に関するルールです。例えば、「要冷蔵(10℃以下で保存)」と表示されている食品は、その温度を守って保存しないと品質が劣化したり、食中毒の原因になる菌が増殖したりする可能性があります。
なぜ規格基準が大切なの?
規格基準を守ることは、単にルールを守るだけではありません。
- 食中毒の予防: 規格基準を守ることで、食中毒の原因となる菌の増殖を防ぎ、みんなの健康を守ります。
- 安全性の確保: 体に有害な物質が食品に含まれないように、国がチェックしてくれています。
- 品質の統一: どこで買っても同じ品質の食品が手に入ります。
食品の基準に関して具体例を挙げながら解説してきましたがいかがだったでしょうか?どの基準が当てはまるのかは非常に難しく、保健所の方も判断がつかずに、消費者庁(以前は厚労省)に問合せするほどです。例えば、食肉製品は加熱後包装と包装後加熱で、規格基準が異なります。
このコラムを見られた方で、これから販売しようとする商品やこれから開発しようとする商品がどの規格基準が適用されるのか、判断がつかない場合はまずは弊社のご相談ください。少なくとも保健所の担当者よりは規格基準に精通している自信があります!お気軽にお問い合わせください。