食品の営業許可の施設基準の解説
営業許可とは?
先日、営業許可と営業届出のページで、二つの違いや無許可営業が発覚したケースを紹介しました。今回は、営業許可に必須である、施設基準についてより具体的に解説します。
<過去のコラム>食品の営業許可と営業届出
食品を売ったり作ったりするお店を始めるには、食品衛生法に基づいて、保健所の許可が必要でした。この許可を得るためには、お店の設備やルールが、法律で決められた「施設基準」を満たさなければなりません。施設基準は、お客さまを食中毒から守るための「最低限のルール」です。安全で美味しい商品を提供するために、必要なルールですが、このルールさえクリアしていればOKではありませんので、誤解のないようにしましょう!
施設基準の3つの重要なポイント
施設基準は、法律としては、食品衛生法施行規則別表19、20に定められています。別表19が共通する事項、別表20が営業毎の事項となっています。
多くの項目がありますが、以下の3つのポイントに集約されます。
- 清潔な場所を確保する
- 製造に適切な設備を整える
- 衛生的な作業を徹底する
1. 清潔な場所を確保する
- お店の場所: 雨や埃、汚水やゴミなどの汚染がなく、ねずみや昆虫の侵入を防ぐような対策をして、
清潔な環境にあることが求められます。 - 床・壁・天井: 掃除がしやすく、水がしみ込まない素材で、排水がしやすい造りであること。
- 換気: 調理場は、結露やカビの発生防止、調理の際に発生する煙や熱を外に出すための換気設備
(換気扇やフード)が必要です。

2. 適切な設備を整える

- 手洗い設備: 調理をする場所の近くに、手を洗うための専用のシンクが必要です。石鹸や消毒液、ペーパータオルも備え付けなければなりません。特に水栓は、せっかく洗ったのにまた汚れないように、自動式や肘で閉められるようにレバー式であることが求められます。
- 使用する水道設備: 特に、井戸水や貯水槽を使う場合は、消毒装置や浄水装置を備えて、定期的な水質点検も必要です。また、排水やトイレの設備も重要です。
- 冷蔵・冷凍設備: 食材を安全に保管するため、適切な温度を保てる冷蔵庫や冷凍庫が必要です。温度計を付けていると温度確認が楽になります。
- 調理器具の洗浄設備: 調理に使った包丁やまな板などを洗うためのシンクが必要です。食材を洗うシンクとは別に用意する必要があります。
- 照明器具: 作業がしやすいように明るい環境が必要です。作業効率だけでなく、異物や異常に気づきやすくなります。
- ゴミ箱: ふた付きで、衛生的にゴミを管理できるゴミ箱が必要です。
3. 衛生的な作業を徹底する
- 作業場所の区別: 生の肉や魚を扱う場所と、野菜を洗う場所、加熱調理をする場所など、作業内容ごとに場所を分ける必要があります。
- 食器や設備の消毒: 洗った食器は、熱湯や消毒液を使って、しっかり消毒することが求められます。なお、誤って洗剤を水と間違えて製造に使ってしまった、というケースは案外、発生しています。洗剤などの化学薬品は保管する場所を分けることが重要です。
- 個人衛生: 従業員は、清潔なユニフォームを着用し、定期的に手洗いを徹底することが重要です。

営業毎の個別基準
別表20の内容は非常に多くありますが、取り扱う食品や営業形態に合わせてルールが定められています。例えば、以下のような項目があります。
- 飲食店営業(自動車での調理・販売): キッチンカーの場合、1日に必要な水の量や、使った水を保管するタンクの容量などが決められています。
- 食肉販売業: 生肉を扱うため、専用の処理室や、肉を吊るす設備、冷凍・冷蔵設備などが決められています。
- 魚介類販売業: 生食用と加熱用の魚介類を区別して扱うための専用の器具や、カキなどを処理する場合には浄化設備が必要な場合があります。
まとめ
食品ビジネスを行うにあたって、どんな施設でどんなことをしなければならないか、少しでもイメージできましたでしょうか。
冒頭にも書いたように、施設基準は「最低限のルール」です。更には、管轄する保健所によっても(担当される方によっても。。。)言うことが違ったりして、営業許可の取得や継続は苦労されている事業者の方は多いと事業者間の交流で聞きます。
より安全や品質を高めるために何をすべきか、弊社は全力でサポートしますので、以下の問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。