食品輸入の第一歩 -知っておきたい法的手続き-

海外の珍しい食品を日本で販売したい、そんなビジネスを考えている方へ。食品を輸入し、販売するためには、日本の法律に基づいた手続きが不可欠です。これらの手続きは、食品の安全を守り、消費者が安心して商品を選べるようにするために定められています。

今回は、食品輸入に関わる主要な法律と、必要な手続きについて解説します。

輸入手続きの大きな枠組み

輸入食品の手続きには大きく、農林水産省、厚生労働省、財務省の3つの省庁が異なる法律を所管しています。

  • 農林水産省:「植物防疫法」と「家畜伝染病予防法」です。野菜、果物、食肉などの貨物が対象となっているもので、輸入時に持ち込まれる可能性のある病気や害虫から、国内の農作物や家畜などを守っています。
  • 厚生労働省:「食品衛生法」です。あらゆる食品を対象として、その食品を食べる消費者の安全を守っています。
  • 財務省:「関税法」です。輸入するものには、税金をかけて輸出入の制限を調整して国内の産業を守る役目があります。

このように、3つの省庁による3重のチェック体制を構築することで、国として、輸入食品の安全確保に取り組んでいます。これらの法律をクリアして国内に流通すれば、国内で作った食品と同じルール、つまり以前説明した食品の規格基準や食品表示などが適用されます。

1. 植物検疫と動物検疫

新型コロナウイルスの世界的流行時に、海外からウイルスが持ち込まれないように入国制限をしましたね。植物や動物も同じく、海外で流行する病気が持ち込まれないようにしています。これまで清浄国となっていた”豚熱(以前は豚コレラ)”が、個人が密かに持ち込んだ豚肉製品からイノシシに感染し、豚にも感染することで養豚業界に大きな影響を与える問題にもなりました。
ということで、これらの検疫手続きは、日本の生態系や畜産業を守る上で極めて重要です。輸入する食品の種類によって、植物防疫法や家畜伝染病予防法に基づく検疫手続きが必要となります。

  • 植物検疫: 農産物(果物、野菜、穀物など)を輸入する場合に適用されます。これは、海外から病害虫が侵入し、日本の農業に被害を及ぼすのを防ぐための手続きです。植物防疫所にて検査が行われ、病害虫が付着していないことが確認されなければ、輸入は許可されません。
  • 動物検疫: 動物由来の食品(肉、卵、乳製品など)を輸入する場合に適用されます。これは、家畜の伝染病が日本国内に持ち込まれるのを防ぐための手続きです。家畜が健康であること、または特定の病気に感染していないことを証明する書類が必要となります。

2. 食品衛生法と輸入届出

食品を輸入する際に最も重要となるのが、食品衛生法です。他のコラムで、だいぶ解説してきたこの法律は、食品の安全性を確保することを目的としており、輸入される食品が日本の安全基準を満たしているかを厳格に審査します。
手続きの第一歩として、輸入を予定している食品について、厚生労働省の検疫所に「食品等輸入届出書」を提出します。この書類には、原材料、添加物、製造方法、保存方法など、食品に関する詳細な情報が記載します。

提出された書類に基づき、食品の成分分析や微生物検査の実施を求められたり、検疫所が実施したりします。これらの検査に合格し、安全性が確認されて初めて、国内への流通が許可されます。この仕組みは複雑ですが食品安全上、重要な制度ですので、別のコラムで解説します。

3. 関税法

海外から物品を輸入する際には、関税法に基づく手続きも必要です。最近は、米国の大統領が変わり、あらゆる国の関税を上げることで注目されていますね。そのことからも分かるように、関税法は、国内産業の保護や財政収入の確保を目的としています。

食品を輸入する際は、税関に対して「輸入申告」を行います。この申告には、輸入する食品の品目や数量、価格などの詳細情報を記載し、これに基づいて関税や消費税が計算されます。関税率は、輸入する食品の種類や原産国によって異なります。

関税を納付し、税関による審査が完了して初めて、物品の国内への引き取りが許可されます。

まとめ

食品の輸入手続きについて、簡単に解説してきましたが、いかがだったでしょうか。主に3つの省庁の法令をクリアする必要がありました。
実際の手続きは多岐にわたり、細かい法律や規制が複雑に絡み合っています。特に、各書類の作成や関係機関との調整には、専門的な知識と経験が求められます。

当事務所は、これらの手続きを円滑に進めるためのサポートを提供しております。弊社代表は、厚生労働省の検疫所から全ての情報が集まる部署で業務をしていました。食品等輸入届出書の作成や、検疫手続きに関するアドバイス、そして関連する法律相談はお任せください!
皆様のビジネスを法的な側面からサポートします。以下からお気軽にお問い合わせください。

\ 最新情報をチェック /