「食品が安全」ってどういうこと?

私たちは毎日、当たり前のように食事をしていますが、普段の生活で「この食べ物は食べて大丈夫かな?」と不安に思うことは少ないと思います。しかし、食の安全は「何もしなくても保たれているもの」ではありません。生産者、流通者、製造者、販売者、家での調理など様々な方の努力の結晶です。今回は、”食の安全”を語る上で大前提となる、「食品が安全であるとは?」という考え方についてお話しします。

1. 実は身近な「食品事故」

日本は世界的に見ても衛生管理が非常に厳しい国、という印象がありますが、それでも食品事故(食中毒など)は毎年発生しています。
厚生労働省の統計によると、日本全体で直近5年くらいは、毎年約800件〜1,000件程度の食中毒が発生し、1万人以上の患者が出ています。原因は細菌やウイルス、寄生虫など様々です。以下のグラフを見て分かるように、過去を遡れば減少傾向ですが、ここ数年は下げ止まりの状況です。

2. 「安全=リスクがゼロである」ではない!

さて、本題です。食品が安全であるとはどのような状況でしょうか。ここで重要なのが「リスク」という考え方です。

食品の安全におけるリスクは、以下の2つの掛け算で決まります。

毒性が強くてもほんの少ししか食べない場合と、毒性は弱くても大量に食べる場合はどちらの方が健康に影響があるでしょうか?

この考え方のように、毒性がどういうものなのか、それがどのくらい食品に入っているのか、を科学的な知見や計算をもとに評価してリスクが決まります。なお、「リスク」という言葉は、金融業界で先に発達したものです。損害保険の掛金は、その保険でカバーする損害の大きさや損害の発生確率によって、損害保険の掛金が決まります。こう考えると理解できるのではないでしょうか。

そして、そのリスクの程度が、社会全体としてみた時にどこまでを仕方なしとするか、つまり許容範囲内なのか否か、が食品が安全であるかの判断根拠となります。

食品が安全であるとは、「完全にゼロ」を目指すのは不可能でも、「影響 × 頻度」の値を限りなく小さくしていくこと。

これが、食品安全を語る上での大前提です。建設的な議論を行うためにはここを共通認識とする必要があります。

3. 安全を守る切り札「HACCP(ハサップ)」

このリスクを下げるために、現在すべての食品事業者に導入が義務付けられているのが「HACCP」という管理手法です。

これまでの検査は「出来上がった製品の中からいくつか抜き取って調べる」という方法が主流でした。しかし、これでは検査をすり抜けた不良品を見逃す可能性があります。そこでHACCPでは、以下のステップを踏みます。

  1. 危害分析(HA): 原材料から出荷まで、どこに危険(菌の混入など)が潜んでいるか洗い出す。
  2. 重要管理点(CCP): 特に注意すべき工程(加熱の温度や時間など)を決め、リアルタイムで監視する。逸脱があればすぐに改善を行う。

つまり、HACCPは、製造工程全体の中で、問題が起こりそうな工程をしっかり管理することで、全ての製品の安全を保証するという考え方です。詳細は、「食品事業者必須のHACCP(ハサップ)の解説」にて解説しています。

まとめ

当事務所では、食品事業者の皆様が安心・安全な食品を多くのお客様に届けられるよう、書類作成やHACCPの管理体制づくりのサポートを行っています。皆さまの事業をサポートするにあたり、「食品の安全とは何か?」をテーマに今回のコラムを書きました。科学的な観点から法務サポートをするのが弊社の強みです。「何から始めたらいいかわからない」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

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